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神戸地裁、山崎前社長に無罪―「一方的な意味づけ」と厳しく批判 [鉄道関連]

事故当日、筆者(管理人)はラジオのニュースで事故の第一報を聞いた。
確か午前10時少し前だったと思う。
その時の内容は、
「JR西日本の電車が乗用車3台と衝突し、脱線・横転」というものだった。
普通に考えれば、電車と衝突したら乗用車なんて木端微塵になる。
踏切事故を想像したものの、最初はいったい何が起こったか全く判らなかった。

 ***

今日(1月11日)の判決は、検察には大変厳しいものだった。
以下は北海道新聞のWEB記事より転載。

 神戸地裁が「一方的」と検察批判 尼崎脱線事故の危険認識否定

 尼崎JR脱線事故でJR西日本の山崎正夫前社長(68)を無罪とした11日の神戸地裁判決は、危険性の認識をめぐる検察側の主張について「一部の事実を取り上げ、一方的な意味づけをした」と厳しく批判した。
 検察側は、現場の線路を急カーブに付け替えた直前にJR函館線のカーブで脱線事故が起きたことなどを根拠に「危険性を認識すべきだった」と主張。最大の争点だったが、岡田信裁判長は「事故が発生する可能性が具体的でない。検察の言う『予見可能性』は実際は『危惧感』と大差ない」と断じた。

改めてまとめてみると、争点は事故の『予見可能性』。
予見が可能であり、かつ必要な対策を怠ったため事故となった、という根拠・事実は主に次のように考えられる。

1、事故現場のカーブは半径450mから304mに付け替えられ、それに伴って制限速度も95km/hから70km/hとなった。

2、カーブ直前の区間の運転速度は120km/hであり、列車は急減速してカーブに進入する。従って、カーブ区間への過速進入という事態は十分予見できる。

3、北海道内において、貨物列車がカーブ区間での過速により、脱線・横転事故を起こしている(類似の事故)。

4、JR東日本は民営化ののち早い時期から首都圏にATS-P(速度抑制機能付きの新型ATS)の設置を進めていた。

5、以上により、この区間にはATS-Pの設置が必要であったが、これがなされていないため重大事故となった。


一方、山崎前社長の公判では、JR東日本の元取締役やJR北海道の社員らが証人尋問で次のように証言している。

JR東日本の元取締役
「カーブで事故が起こるとは考えたことがないので、尼崎の事故は異常なケースだったという印象だ」
「通常は制限速度に余裕があり、運転士が大幅に速度超過することはない」
「現場の担当者から何らかの情報がなければ、会社の幹部が個別の地点について危険だと気づくことは難しい」

JR北海道の安全対策担当社員
(1996年の函館本線での貨物列車の脱線事故について)「事故後に社内でカーブにATSを設置すべきだとの議論は起こらなかった」

JR東日本のATS-Pの設置は、山之内秀一郎著「JRはなぜ変われたか」によると、1988年に起きた「東中野事故」(乗員、乗客の2名が死亡)を受けてのもの。この事故は赤信号見落としによる追突事故で、ATS-Pはあくまで防護装置ある。
また、北海道内での貨物列車の脱線・転覆事故は確かに列車の速度超過が原因ではあるが、乗務員の過労運転が疑われるものであった。(JR貨物ではこの事故に対して機関車に対策を実施した)。


そもそもこの裁判、山崎前社長個人の刑事責任を問うという事に対しての議論もあると思うのだが、筆者はこれについては言及しない。
いずれにせよ、事故当時の安全対策の常識の範囲では、不作為による過失責任を問うというのは厳しいようである。装置(ATS-P)が争点となった以上、止むを得ない。が、一方で、尋常ではない速度超過を起こしてしまった運転士に対する管理責任は、いったいどのように考えられているのだろうか、という疑問は残る。

 ***

裁判の争点のまとめの意味で、以下に拙ブログの過去記事を再掲致します。

(2009年7月記事)
「焦点は、事故の危険性の予測。」 JR西日本 山崎社長起訴~“NHK ニュースウオッチ9”より

昨夜(7月8日)放送された“NHK ニュースウオッチ9”。
トップニュースでした。
多くのテレビ報道がこのニュースを伝えておりましたが、ニュースウオッチ9は、短い時間ながら(約7分30秒)要点をきわめて端的にまとめていたと思います。

記録の意味合いも含め、その部分を再現します。

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(ナレーション)
JR西日本の山崎正夫社長。
きょう、起訴されました。
JR福知山線の脱線事故から4年3ヶ月。

検察がだした結論が、
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(神戸地検 山根英嗣次席検事)
「山崎正夫を業務上過失致死傷の罪により、本日、神戸地方裁判所に公判請求をいたしました。」

その山崎社長が今夜記者会見。

「私は、社長の任を辞することと致します。」

現職の社長の起訴、そして辞任という異例の事態になりました。

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107人が死亡、562人が怪我をしたJR福知山線の脱線事故。山崎正夫被告は、事故が起きる危険性を予測できたのに、列車のスピードを自動的に落とす装置、ATSを設置せず、必要な安全対策を怠ったとして、業務上過失致死傷の罪で、在宅で起訴されました。

これまでの調べに対して山崎社長は、事故は予測できなかったと、起訴された内容を否認しているということです。
焦点は、事故の危険性の予測。
いったい、どういうことなのか。

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事故現場のカーブです。
列車は、制限速度を大幅に上回るスピードでカーブに進入し、脱線しました。
検察が注目したのは、当時の安全対策です。
事故現場付近は、以前は比較的緩やかなカーブで、制限速度は95キロでした。
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それが、平成8年に急なカーブに付け替えられ、カーブの制限速度は95キロから70キロになりました。
カーブの手前の直線の最高スピードは120キロ。
カーブを曲がるために、50キロもの急激な減速が必要になったのです。
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当時JR西日本は、半径450メートル未満のカーブに、列車のスピードを自動的に落とすATSの設置を進めていました。
ところが、事故現場のカーブの半径は304メートル。
基準よりはるかに急なカーブでしたが、この場所には設置されていませんでした。

検察は、事故現場をATSを優先的に設置すべき危険な場所だと判断したということです。
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危険性の予測について、JR西日本の山崎社長は、
「カーブにATSをつけるようなのが常識だったかどうかは、私の認識とはですね、いろんな意味で異なる部分もあるので、どちらが正しいかは、まさに裁判の場で決着をつけるべき話しだと思いますけどね。」

では、なぜ、山崎社長一人だけが起訴されたのか。
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事故を巡って書類送検されたり、刑事告訴されたりしたのは、歴代の社長3人を含むJR西日本の幹部ら12人。
歴代の社長や幹部らは、十分な報告を受けていなかったり、危険性を予測できなかったりした、などとして不起訴になりました。

会社として、安全対策の全ての権限を鉄道本部長に任せ、その鉄道本部長が、当時、山崎社長だったというのです。

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山崎社長の起訴について、事故で妻を亡くした山本 武さんは、
「結果的に一人だけ、しかも現社長の山崎だけということで、確かに当時安全対策室長ということで、任務に当たってたというか、やってたというのは事実だと思うけれど、彼一人だけというのもちょっと納得出来ないというのか・・・」
「・・・これで終わるとは思ってませんから、それが今後どういう展開になっていくかというのを見守っていかないと・・・」

また、妻と妹を亡くした淺野 弥三一さんは、
「会社が絡んだということを検察も認めた、という点では一歩前進かなと思いますけど、山崎氏だけでいいのかということになりますと、極めて不満が残る。
遺族感情としても、許すことが出来ない判断、であり、かなりずれた格好の起訴、という結果ではないかと・・・。」

現職の社長が起訴された福知山線の脱線事故。
裁判では、山崎社長が事故の危険性を予測できたかどうかの立証が焦点となります。
専門家は。
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(神戸大大学院 大塚 裕史教授)
「検察としては、非常に事故が重大であったという事もありますし、それから被害者の方々の気持ちや、或いはJRの組織を追及すべきだという国民の世論を背景とすれば、止むを得ない選択だったかなと思います。」
「安全管理に関する最高責任者であり、しかも現職の社長という事ですから、鉄道をはじめとして、いろいろな公共交通機関があります・・・安全管理についての意識をより強める、という意味にはなっていると思います。」

(甲南大法科大学院 渡辺 修教授)
「今回の控訴の提起は不適切だと思います。事故がおきるということをですね、十分予見可能であったかというと、それは私は無理だと思います。・・・事故が起きた、その全体の重みを、一人の人の人間の肩に乗せて、その人の個人責任を追及する、という形で正義を実現できるという事にはなりません。問題は、JR西日本という組織がおこした過失、こういう事故について事件について、どうするのかを正面から取り組まなければいけないんです・・・。」

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yutakami

ご無沙汰を致しています。お元気でしょうか。この記事にはナイスは押せませんね。
by yutakami (2012-02-12 18:27) 

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